今回登場するのは “小学3年生” の☆☆ちゃん。
ADHD(注意散漫型)の診断があります。
その子は、しょっちゅう「算数はできない・・」と言っていて、「算数はできない」と思い込んでいるので、算数の問題に取り組むのがものすごく大変です。
先生から算数の宿題を渡される ⇒ できないものを渡され「やれ」と言われている。(コレは非常に苦しいでしょう)
という図式になっているわけです。
勉強の実施状況としては、お母さんにうながされ、宿題をやっていることも多いのですが(開始するまでに時間がかかります)、時に宿題をやらずに学校へ行き「居残り勉強」をすることもある。
今回登場するのは「算数ができない・・」と思いこんでいる “小学3年生” の女の子。
「算数の中でも “出来るものもある!” 」と思えたら勉強しやすくなりました。
勉強しない理由に「変化」をつける
☆☆ちゃん、しょっちゅう「算数はできない…」と言っていましたが、実は「宿題に出される内容」に関して、半分以上は “自分自身でできる力” を持っていました。
しかし「算数はできない…」と思いこんでいるので、できないし、やらないし、やろうとすると「暗い気持ち」になってしまいます。☆☆ちゃんが勉強しない、勉強しづらい理由はこの部分です。
半分以上は自分でできる問題なのに、なぜできないと思い込んでいるのか、不思議と言えば不思議な話です。
このへんの事情を本人に聞いていくと、1〜2年生の頃に、学校の友達等に「☆☆ちゃん、算数できないよね!」と言われていたことがわかりました。
仲間同士の気楽なやり取りで、言っている方も全く悪気などないようでしたが、☆☆ちゃんは、「私、算数できないんだ・・」と思い込んでしまった。
“何かを思いこんでしまっている子” に対して、「言葉だけ」で説得しても「通じない」ということがよくあります。
たとえば下記など・・
親:「半分以上はできるんだから、やりなさいよ」
と言ってみても、
子:「え?できない・・」
親:「できるのもあるでしょ?」
と言ってみても、
子:「できない、無理」
「算数、できるのもあるよ♪」に変わったら…
「算数 “できない!” って言ってるけど、まわりの子たちが言ってるだけじゃないの?」(実際はそれなりにできるのですし)
そうすると☆☆ちゃんは、
「え? 私、本当にできないよ」と答えました。
(本当に”できない” と思いこんでいるのです)
そこで私は、 “本人が簡単にできる範囲の問題” を何個か出して、実際に解いてもらうことにしました。
隣に座って様子を見ながら、何個か続けて解けたところで、
「おお!できてるよ!」と伝えると、
「…あれ?…私、できるの?」と言って、本人は不思議そうにいています…。
「できるやつもあるんだね!」と本人に確認すると・・・
「そう♪、できるのもある♪」
と言い「ニコッ」と笑顔になりました。
たぶん、☆☆ちゃん、これまで「”算数” に関して “できる” と思ったこと」が無かったのでしょう。これだけのやり取りで、感じが「コロリ」と変わりました。
「あれ? もしかして、私、算数できるのかな?」と思うことに加えて、
「できるものもある♪」ということも、思えたわけです。
その後1ヶ月ぐらい経ってから、
「☆☆ちゃん、算数どう? できる? できない?」
と尋ねると、
「できるのもあるよ♪」と答えていたので、
「そこそこ “できる感じ”」が身についていったようです。
「できるものもある」と思えていれば、算数の宿題が来た時も、すんなりと動きやすい。
実際に宿題も、自分からプリントを広げて取り組むようになりました。
「私、算数できない…」が「算数、できるのもあるよ♪」
に変わり、動きやすくなったという今回のケース、もちろん話の続きもあるのですが、今回は「どうすれば子供が勉強しやすくなるか?」、”勉強を始めるまで” がテーマなので、ここまでにします。
はぴねす子育てポイント
本人が「できない」と思いこんでいるとき、
その子に「できるものもあるよ」と伝えたい。
子供に『できる』ということを伝えるには
「本人が “できている状態”」の時に伝える事がポイントです。文字色を選択する (今回のお話では「できる問題」をやりながら『できている状態』を一緒に作りました)
人間の大脳の特徴として、「その時点」での状態を「本当のこと」と認識しやすい傾向があります。
そのため、難しい問題に取り組んでいて、本人が『できていない』状態の時に
「頑張ればできるよ!」などと言われても、全部「ウソ」に聞こえてしまいますし、
簡単な問題を解きながら、本人が『できている』状態の時に「できるね!」と「確認」をされると、「私、本当にできるんだ!」と思えるということです。
本人の思いが「できるものもある♪」に変わってしまえば、「私、できない」と思っている時よりも、はるかに楽に取り組めるし、実際にできることも増えていきます。
☆☆ちゃんの場合も、「私、算数できない…」と思っていたのが、「算数、できるものもある♪」に変わったら、
自然と「勉強への取り組み」もスムーズになっていきました。
最後に、少し余談になりますが、今回のケース、「☆☆ちゃんが、お勉強をするようになってよかった!」という点は、もちろんあるのですが、
それよりも、
- 自分で「できるものもある♪」と思えたこと(=自信の向上)
- 本人にとっての「勉強の大変さが減ったこと」(=以前より楽に取り組める)
- 日々の「勉強をやる or やらない」の親子のやり取りが和やかになったこと
に「より大きな価値がある」とも言えます。勉強のことは人生のほんの一部にすぎないけれど、ここに記したことは日々の暮らし、親子の関係、人生全体に関わってくることですから♪
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